最近の映画館は、シネマコンプレッスクの時代
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気づけば、昔ながらの映画館が消えている。
昔とはいえ「活動小屋」じゃなくなになに館という古典的な映画館が、なくなっている。
直近ではこの大晦日、あの新宿ミラノ座が消える。
1,000余の座席と大スクリーンで観客を呼んだ典型的な昔ながらの映画館だ。
ここが、いま「愛を込めて」最後の興行を打とうとしている。
いや、さびしい限りである。ざわついた館内がブザーで靜まる、ライトが消える。
評判の作品なら満席だから、騒がしさも靜けさも質感がある。
大きなスクリーンが目の前に広がる。背中から光の帯が伸びる。
絵が映る…..。
シネマパラダイスの世界は、もうない。
古き映画ファンのひとりとして、筆者はここに一つの個性的な映画館がその還暦を待たずに幕を下ろすさまを見ただ送るほかなはい。
さらに気づけば、まわりにはコンパクトな「映画館」、というよりは「映画室」がハモニカ長屋のように連なる場所ができている。
シネマコンプレックスというものだ。
映画を觀る小部屋が十ほどまとまっている。
さまざまな映画が同時進行的に映されている。
入ってみると、100席足らずのこじんまりした「部屋」だ。
もっとも、集客力を見込める作品には「大部屋」(500席ほど)があるようだが、とてもミラノ感覚では違和感のあるサイズだ。
思ふに、これは家のテレビを見飽きた人々が流れこんでくる場所ではなかろうか。
かつて映画館から茶の間のテレビに流れた人々が、またぞろ映画館ならぬ映画室に回帰している…..。
そう思えば、シネマコンプレックスはまずは格好の場所である。
お望みならば、テレビのチャンネルを切り替えるように、部屋から部屋へ巡ればいいのだ。
シネマコンプレックスは、ほとんどショッピングセンターのテナントとして運営されているか、スーパーマーケットなどが併設されている。
言うまでもなくショッピングセンターとシネマコンプレックスの双方の集客効果を狙ったものである。
見事に仕組まれたものだ。
ここには、映画そのものを楽しみに集まる観客はいない。
たまたま族、ついで族の溜まり場だ。
シネマパラダイスの情感はもうない。
そのところが、筆者にはことのほか淋しいのである。
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