久しぶりに髪をカットしてきました。

カナダのオタワにも、日本人スタイリストのいる美容院があるのです。

バンクーバーやトロントには日本人がたくさん住んでいるので、日系のサロンもいくつかあるのでしょうが、オタワでは唯一の日本人スタイリストです。

以前住んでいたロサンゼルスでも中国でも、私はいつも日本人のヘアスタイリストにカットをお願いしていました。

嬉しいことに、近頃では世界中に日本人の美容師さん、結構いるんですよね。

私が行っているのは、大きなレンガ造りの一軒家を改装したお洒落なサロンで、オーナーはスタイリストを養成するスクールも経営しているので、オタワでは美容業界をリードしているサロンと言ってもいいと思います。

スタッフのほとんどはカナダ人スタイリストですが、移民の多いカナダらしく、日本人の他にも韓国人、フィリピン人、中国人、ベトナム人、コスタリカ人スタイリストが一人ずついます。

カナダ人スタッフも英語圏の人とフランス語圏の人がいます。

日本で美容師になるためには、高校を卒業し美容学校で2年間の勉強を終えた後、それぞれのサロンで働くことになります。

サロンで働き始めたからと言って、すぐにスタイリストになれる訳ではなく、アシスタントを3〜4年もやらなくてはならないそうです。

お客さんのシャンプーをしたり、カラーを塗ったり、先輩スタイリストがパーマのロッドを巻く時のお手伝いなど、ほとんどの仕事は先輩スタイリストの雑用係のようなものだそうです。

アシスタント達は一日中立ちっ放しで仕事をし、食事もろくにとれず、夜にお店が終わった後は練習会が待っています。

夜中過ぎまでカットの練習をして疲れきって帰宅し、また翌朝にはお店に行くという、それはきつくて辛い4年間だそうです。

この期間に耐えられなくて辞めてしまう美容師さんのたまごは多いそうですね。

日本の美容業界では先輩後輩の関係がとてもはっきりしていて、先輩スタイリストはジュニアスタイリストの指導も仕事のうちに入っています。

かたや北米のスタイリストは、美容学校を出てサロンに勤めだしたらもうそこからプロのスタイリストです。

日本で言う“見習い期間”などなく、言わば“on the job training”です。

アシスタント期間がない、ということはアシスタントもいません。

当然シャンプーからカット、カラー、パーマと全て一人でやることになります。

学校を出たばかりの新米スタイリストでも、すぐにプロとしてお客さんの髪を切り始めるわけですが、切り始めてすぐは緊張もするし、上手くいかないものです。

横で見ていた私のスタイリストのMさん、ついついアドバイスをしてしまったのです。

すると 「私は一生懸命やっているんだから、頼んでもいないのにヘルプなどしないで!」と強く言い返されてしまったのだそうです。

新米でもプロとなったらリスペクトされるのが当然という考え方の北米では、先輩後輩の違いなどなく、皆同等のスタイリストなのです。

ジュニアだからと言って下に見られることもないかわりに、プロとしてきちんとした仕事を求められます。

そもそも尊敬語とか丁寧語などは英語にはほとんどないのですが、ジュニアスタイリストがシニアスタイリストにため口で話す、それが日本人にとっては楽でもあり、やりにくくもあるそうです。

日本は古くから先輩後輩、上司部下の上下関係が根強く残る縦社会。

欧米では同じプロとして対等な関係も築ける横社会。

先輩から厳しく指導されることもないのですが、助けてくれる人がいないということでもあります。

私のスタイリストのMさんの話を聞いて、“これから世界に出て行く若い日本人には、この社会構造の違いを理解した上で頑張って欲しいな、と感じたのでした。